風紋

風紋〈下〉 (双葉文庫)

風紋〈下〉 (双葉文庫)

刑事事件を扱った作品=それを捜査する人(刑事)、あるいは犯人の視点から描かれることが多いですが、本作では事件の被害者家族、犯人の家族、刑事、事件を追う記者・・・様々な角度から一つの事件を追ってゆく。

犯罪被害者に限定して言えば、事件の加害者となった人間以外は全て、被害者になってしまう

という作者の言葉が、この作品を象徴しているように思う。
法廷にて加害者が裁かれたとしても、遺族の心が晴れるわけではなく、怒りや憎しみを解放する相手、場所、機会もない。
ただじっと・・・耐えるのみ。
物語全体の流れが一貫されており、読み手が置いてゆかれることのない一冊。
ちとブ厚い*1のが敷居の高さになってしまっていますが。

*1:上下巻計1000ページオーバー。